中古車買取、約6割が「不信感」を経験:市場の透明性向上と消費者心理のギャップを解説

中古車買取市場における消費者の不信感と信頼の要素

中古車市場は、自動車のライフサイクルにおいて重要な役割を担っています。新車販売と並び、多くの人々が車の乗り換えや売却を経験する場ですが、その取引において消費者が抱える不信感や不安が課題として存在しています。2026年1月9日にリセールバリュー総合研究所が全国の自家用車保有者464人を対象に実施した「中古車売却・買取査定に関する意識調査」は、この現状を多角的に明らかにしています。

約6割が買取査定で「不信感」を経験

調査結果によると、中古車の買取査定経験者のうち、約6割が何らかの不信感を抱いた経験があると回答しました。具体的には、「何度もある」が13.8%、「数回ある」が41.3%にのぼり、合計で55.1%が不信感を経験していることが示されています。

中古車の買取査定に関する意識調査の結果。買取査定で不信感を抱いた経験がある人は55.1%で、主な理由は「後出しで減額された」(40.4%)と「査定額の根拠が不明確」(39.7%)だった。

不信感の理由として最も多かったのは「後出しで減額された」(40.4%)でした。これに続き、「査定額の根拠が不明確」(39.7%)、「相場より明らかに安いと感じた」(30.8%)、「手数料・条件などの説明が不十分だった」(30.1%)が上位を占めています。これらの結果から、金額だけでなく、査定プロセスの透明性や説明不足が消費者の不信感につながっていることがうかがえます。

信頼できる買取体験の鍵は「透明性」と「丁寧な説明」

一方で、この調査では「この対応なら信頼できる」と感じた買取査定体験が「ある」と回答した人も52.3%と、約半数にのぼることが明らかになりました。

中古車買取査定に関する2026年リセバ総研の調査結果。回答者の52.3%が信頼できる査定体験があったと回答。信頼の理由は、相場情報の開示(54.1%)と査定額の丁寧な説明(53.4%)が上位を占める。

信頼できた理由としては、「相場情報を開示してくれた」(54.1%)と「査定額の理由を丁寧に説明してくれた」(53.4%)が最も多く挙げられています。また、「即決を迫らなかった」(35.8%)や「他社比較を認めてくれた」(35.1%)といった、消費者への配慮や選択の自由を尊重する姿勢も信頼につながる要因として認識されています。これは、単に高値で買い取るだけでなく、取引プロセス全体における透明性と誠実な対応が、消費者の信頼を築く上で不可欠であることを示唆しています。

中古車相場の把握状況と売却判断への影響

中古車相場に関する情報把握度については、「まったくわからない」と回答した人が46.8%と約半数を占め、相場動向を十分に把握できていない消費者が多数派であることが判明しました。一方で、「相場が下がるかもしれない」と思うと売却判断に「かなり影響する」「多少影響する」と回答した人は合わせて64.5%にのぼっています。

中古車の相場動向に関する情報把握度と、相場下落の可能性が売却判断に与える影響についてのリセバ総研によるアンケート結果を2つの円グラフで示しています。

この結果は、多くの消費者が相場情報を正確に把握できていないにもかかわらず、価格下落への懸念は強く意識しており、それが売却判断に大きな影響を与えているという情報と心理のギャップを浮き彫りにしています。

また、自身の車の残価(リセールバリュー)を「正確に把握している」と回答した人は9.1%にとどまり、「あまり把握していない」「まったくわからない」と回答した人が65.7%と約3分の2を占めました。さらに、実際の査定額が「想定より低かった」と感じた人は38.5%であり、事前の認識と現実の査定額との間に乖離があることが見て取れます。

中古車の残価把握度と実際の査定額に関する意識調査結果を示す円グラフ。約3分の2が残価を把握しておらず、査定額が想定より低かったと感じる人が約4割いることがわかる。

次に車を売る際に重視するポイント

次に車を売る際に最も重視したいポイントとして、最も多かったのは「価格の高さ」(36.4%)でした。これは、売却において経済的な利益を最大化したいという消費者の自然な心理を反映しています。

中古車売却時の重視点に関する調査結果。最も重視されるのは「価格の高さ」で36.4%。次いで「査定の透明性」が20.0%を占め、手続きの簡便さや相場情報の事前把握も重要な要素であることが示されている。

しかし、それに続く回答として「査定の透明性」(20.0%)、「営業姿勢や対応の誠実さ」(11.9%)、「手続きの簡単さ」(10.8%)、「相場情報が事前にわかること」(10.8%)が挙げられており、価格だけでなく、取引全体の納得感や安心感を重視する傾向も強いことが示されています。

自動車業界における透明性向上の動き

これらの調査結果は、中古車市場における情報格差が消費者の不信感や不安の根源にあることを明確に示しています。消費者が自身の車の価値や市場相場を十分に把握できていない状況で、不透明な査定プロセスや説明不足に直面することが、不信感を生み出す主要因となっていると考えられます。2026年の中古車相場についても、「正直わからない」と回答した人が40.7%と最も多く、物価上昇や世界情勢への不安が背景にあると見られますが、明確な根拠を持って判断している人は少ないようです。

このような状況に対し、市場の透明性を高め、消費者が安心して中古車売却を行える環境を整備する動きも見られます。例えば、リセールバリュー総合研究所(リセバ総研)のようなメディアは、年間約45万件を超える買取価格査定データや調査結果に基づき、クルマの売却価格や中古車相場を見える化することを目指しています。このような取り組みは、消費者が「今買いたい」「今売りたい」クルマのリセールバリューを正しく掴む手助けとなり、中古車選びの価値基準をアップデートすることに貢献するでしょう。

リセバ総研のウェブサイト画面で、中古車の査定件数と平均売却予想額の月別推移を示すグラフが表示されています。2025年4月のデータとして、査定件数35,578件と平均売却予想額1,063,813円が示されており、中古車市場の動向分析に役立つ情報を提供しています。

中古車市場が持続的に発展するためには、事業者側が査定の透明性を高め、根拠に基づいた丁寧な説明を行うこと、そして消費者が市場情報をより容易に得られるような環境が不可欠です。これにより、消費者は納得感を持って取引に臨むことができ、中古車売却における不信感の解消につながることが期待されます。