改正物流効率化法、企業の7割が『内容を知らない』 物流停滞対策には「連携強化」が重要

改正物流効率化法の認知状況

調査によると、改正物流効率化法の『内容を知っている』企業の割合はわずか16.8%にとどまりました。内訳は「制度の内容を含めてよく知っている」が2.8%、「制度の内容を含めてある程度知っている」が14.0%です。一方で、『内容を知らない』企業は69.7%と約7割に達しており、「名前は聞いたことがあるが、制度の内容は知らない」が33.7%、「知らない(名前も聞いたことがない)」が35.9%という結果でした。

改正物流効率化法の認知度

規模別では、貨物量が多い傾向にある大企業で23.9%が内容を認知している一方、中小企業では認知度が低い傾向が見られました。業界別では、トラック運送など物流事業者が多くを占める『運輸・倉庫』が61.8%と突出して高い認知度を示しています。しかし、主要な荷主事業者である『製造』(20.2%)、『卸売』(18.7%)、『小売』(9.2%)では認知度が低く、特に着荷主中心の業界で認知が進んでいない実態が浮き彫りになりました。

企業規模・産業別の認知度

企業からは、「改正物流効率化法は、持続可能で効率的なサプライチェーン構築に資する取り組みと捉えている」(機械製造)や、「法律の内容に対する理解を深めるとともに、自社で納品可能な体制や分納の仕組みづくりが必要」(出版・印刷)といった前向きな意見も聞かれました。一方で、「適正な運賃での取引が実現していないにもかかわらず、制度だけが先行している」や「現場の実態とかけ離れており、机上の空論に感じる」(ともに運輸・倉庫)といった、運送事業者からの厳しい指摘も寄せられています。

物流停滞への重要な対策

働き方改革に伴う「2024年問題」やドライバー不足による物流停滞が懸念される中、重要と考える対策・取り組みについて尋ねたところ、「関係事業者間での連携の強化」が39.3%で最も高い割合を占めました。この項目は、『運輸・倉庫』、『製造』、『卸売』のいずれの業界でも約4割に達しており、物流課題が自社単独では解決しにくいという認識が広がっていることが示唆されます。

次いで、「配送・運行計画の最適化」(24.4%)や「リードタイム(発注から納品までの時間)の確保」(23.5%)といった、物流量やタイミングを調整する運用面での対応が上位に挙げられました。さらに、自動化など「デジタル技術の活用による業務の効率化」(21.7%)も重要な対策として認識されています。

一方で、「物流に関する責任者の選任」(5.3%)といった組織体制の整備や、「輸送用器具(パレットなど)の活用による効率化」(7.3%)、「荷役作業が円滑に行える環境整備」(9.8%)といった現場の荷役作業効率化に関する項目は、相対的に低い水準にとどまりました。

業界間の意識差

物流事業者である『運輸・倉庫』と、主要な荷主である『製造』、『卸売』、『小売』(以下、『荷主事業者』)を比較すると、『運輸・倉庫』では多くの項目で重要とする割合が高く、課題意識の広さがうかがえます。特に、「繁忙期と閑散期の平準化」、「荷役作業が円滑に行える環境整備」、「社内教育体制の整備」では、『運輸・倉庫』の割合が『荷主事業者』すべてを10ポイント以上上回りました。

しかし、「リードタイム(発注から納品までの時間)の確保」については、『荷主事業者』が『運輸・倉庫』を上回っており、物流事業者と荷主事業者との間で、重要と考える対策に違いが見られます。

企業からは、「ドライバー、物流事業者、荷主が相互に理解を深め、連絡や打ち合わせを綿密に行うことが重要」(建設)や、「発荷主と着荷主の取り決めが物流事業者に共有されないことで、事故や無理が生じている」(その他サービス)といった声が寄せられ、関係事業者間の連携の重要性が改めて指摘されました。また、「着荷主が午前中のみの受け入れとするなどの課題があり、改善が必要」(食料品卸売)といった、荷主側の改善を求める声も複数聞かれています。

今後の課題と展望

今回の調査では、改正物流効率化法の認知度が低いことが明らかになりました。特に、回答企業の85%が中小企業であることから、法改正に対する認知が十分に進んでいない状況が示唆されます。しかし、2030年には国内で輸送される9億トン超の荷物が運べなくなるとされる「物流の2030年問題」が懸念されており、企業規模を問わず、物流に関わるすべての企業が対応を進めることが不可欠です。

このような取り組みは、企業にとって配送コストの削減やサービス品質の向上といった効果が期待されます。今後は、デジタル技術の活用による自動化・効率化に加え、物流事業者におけるドライバー確保に向けた賃上げ原資を確保するための価格転嫁を進めやすい環境整備の強化など、多岐にわたる取り組みが重要となるでしょう。また、物流事業者と荷主の連携強化とともに、消費者側でも配送に関する買い物習慣の見直しといった意識改革も求められています。

企業からの具体的な声としては、以下のようなものがあります。

  • 取引先との納品期日について、今まで以上に詳細に取り決めていきたい(建設・一般管工事)

  • トラック輸送から鉄道・船舶へのモーダルシフトを強化し、配送の大口化や共同配送、パレット導入などにより、配送コスト削減とドライバー負荷軽減を進めている(飲食料品・飼料製造)

  • 運送会社に対して、早い段階での輸送計画を立てられるよう、情報共有を専用のアプリを用いて実施している。顧客には納品先でのトラックの待機時間1時間以内を協力要請し、拘束時間の削減を実施している(電気機械製造)

  • 小売事業では送料無料や即日配送などが当たり前になっており、その影響が物流業界の負担につながっている。消費者において相応の送料やリードタイムを受け入れることが当然となるよう、業界団体や行政による働きかけが必要(家電・情報機器小売)

  • リードタイムを延ばせば、ドライバー不足は大きく緩和されると考える。また、荷主側の荷物量が荷さばき能力を上回るキャパシティ不足により、ドライバーが最大7時間待機するケースもあり、罰則などの実効的な対策がなければ改善は難しい(運輸・倉庫 / 一般貨物自動車運送)

  • 適正運賃の授受と荷主側の物流効率化を促進し、運送事業者へのしわ寄せを止めるべきである。物流業の社会的地位の向上を図り、新卒者や就職希望者に将来性のある業種として認識してもらうよう改革を促進していくべきである(運輸・倉庫 / 利用運送)