EV普及と整備インフラの現状:愛知県知多半島におけるテスラ車検サービスの開始

自動車業界におけるEVの台頭

近年、世界的にカーボンニュートラルへの関心が高まる中、電気自動車(EV)の普及が加速しています。日本国内においてもEVの販売台数は増加傾向にあり、例えばテスラ車の販売台数は2025年1~6月期で前年比7割増を記録したという報告もあります。

EV整備インフラの現状と課題

EVの急速な普及に対し、その整備を担うインフラの整備は追いついていないのが現状です。EVの整備には、従来のガソリン車とは異なる専門的な知識と設備が不可欠です。具体的には、車両の電子制御システムにアクセスするための専用診断機、高電圧バッテリーやケーブルを取り扱うための専門資格と絶縁工具、バッテリーパックを損傷させないための特殊なリフトアップ手順など、高度な技術が求められます。このため、EVを受け入れられる整備工場は限られており、専門的な整備士と設備を要するEVを受け入れられる整備工場の数は圧倒的に不足していると指摘されています。

特に都市部以外では整備拠点が少なく、メーカー公式のサービスセンターも都市部に集中しているため、予約が数週間から数ヶ月先まで埋まっていることも珍しくありません。「車検切れが迫っているのに予約が取れない」「軽微な不具合だが遠方のサービスセンターまで行く時間がない」といった悩みは、多くのEVオーナーが直面する課題となっています。

地域におけるEV整備拠点の役割

こうしたEV整備インフラの課題に対し、地域に根ざした整備工場がEVメーカーの認定を受け、専門サービスを提供することは、EVオーナーの利便性向上に大きく寄与します。愛知県半田市に拠点を置く「テスラ認定 ボディショップ MITSUMARU」が、2025年12月1日よりテスラ車(Model S, 3, X, Y)を対象とした車検・法定点検サービスを本格的に開始した事例は、地域におけるEV整備インフラの一翼を担う動きと言えるでしょう。同店は知多半島エリアで初のテスラ認定ボディショップとして、これまでに多くのテスラ車の鈑金・塗装修理を手掛けてきました。

テスラ認定ボディショップMITSUMARUの車検サービス開始を告知するテスラ車

テスラ車検サービスの特徴

テスラ認定ボディショップは、テスラ社が定める厳格な基準(設備、技術、トレーニング)をクリアした整備工場です。車体の構造から電気系統に至るまで、テスラの設計思想を熟知したメカニックが点検を行います。一般的な車検項目に加え、テスラ特有のウィークポイントや、ソフトウェアアップデートに関連するチェックも実施可能です。

整備に不可欠な最新の診断コンピューターはもちろん、ホイールアライメントテスター、高電圧絶縁ツール、アルミボディ対応の修正機など、メーカー推奨の最新設備を完備しています。これにより、通常の目視点検だけでは発見できない、センサー類の微細なズレやバッテリーの健康状態(SOH)も正確に把握できるとされています。また、一般の整備工場では入手困難なテスラ純正部品も、スムーズに発注・交換が可能です。

整備工場でリフトアップされた白いテスラ車

消費者・事業者への影響と業界全体の流れ

地域に専門的なEV整備拠点が誕生することは、EVオーナーにとって安心して長く愛車を利用できる環境が整うことを意味します。これにより、EVの購入を検討している消費者層にとっても、維持管理の不安が軽減される可能性があります。事業者にとっては、EV市場の拡大に対応するための新たな事業機会となり、整備技術の高度化と専門化がさらに進む契機となるでしょう。

今後、みつまる自動車株式会社は、テスラ車検サービス開始を皮切りに、知多半島エリアにおける「次世代モビリティのハブ拠点」を目指すとしています。将来的に、テスラ以外のEVメーカーへの対応拡大や、急速充電器の設置、EVを活用した防災拠点の整備なども視野に入れ、地域の持続可能な発展に貢献していく方針です。

リフトアップされた車の車体の下で作業する整備士

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