新車価格高騰と中古車市場の現状:消費者の意識調査から見る自動車購入の課題
自動車市場の変化と消費者の意識
近年、自動車市場では新車の価格上昇が顕著です。この状況が消費者の購買行動や中古車への向き合い方にどのような影響を与えているかについて、リセールバリュー総合研究所が全国の20歳以上の男女601人を対象に実施した「新車の買いにくさと中古車という選択肢に関する意識調査」の結果を基に解説します。
新車価格上昇の実態と消費者の反応
調査によると、ここ数年の新車価格の上昇を「とても感じる」(47.8%)または「やや感じる」(25.8%)と回答した人は合わせて73.6%にのぼり、約7割の消費者が値上がりを実感しています。特に、すでに車を所有し買い替えを検討している層では、この実感は96.1%とさらに高くなっています。

新車価格上昇を受けての購入・買い替えの考え方の変化については、「そもそもクルマを購入する予定がない」が41.1%、「特に変化はない」が24.6%と、合わせて6割以上が具体的な購入行動の変化がない、または購入を想定していないと回答しました。一方で、「中古車も選択肢に入れるようになった」と回答した人は14.6%、「購入・買い替えの時期を先延ばしにした」が13.0%となり、一部の層では新車の値上げが購買行動に影響を与えていることが分かります。

中古車市場への向き合い方と課題
中古車を選択肢として検討した経験については、男女間で大きな差が見られました。女性の61.3%が「検討したことはない」と回答したのに対し、男性は37.5%にとどまっています。実際に中古車を購入した経験も、男性が32.2%であるのに対し、女性は21.7%でした。この結果から、中古車が検討の土俵に上がる段階で男女の意識に隔たりがあることがうかがえます。

中古車購入時の不安点としては、「故障やトラブルのリスク」(47.6%)と「車両の品質・状態」(46.8%)が上位を占め、車両そのもののコンディションへの懸念が主要なハードルとなっていることが示されました。しかし、「特に不安はない」と回答した人も25.1%存在し、中古車に抵抗がない層も一定数いることが分かります。

また、「中古車は新車より安い」という従来の常識について、「今も当てはまる」と考える人は25.8%にとどまり、「以前ほど当てはまらない」(22.3%)または「もう当てはまらない」(11.0%)と回答した人を合わせると3割を超えました。特に女性では「わからない」が53.0%と過半数を占め、中古車相場の変化が女性には実感として届いていない可能性が指摘されます。

新たな選択肢「登録済み未使用車」の認知度
ナンバー登録だけされ、走行距離がごく少ない実質新車である「登録済み未使用車」という言葉について、「知らなかった」と回答した人は全体で46.4%と半数近くにのぼりました。世代別に見ると、20代では64.7%が知らなかった一方、60代以上では34.9%にとどまり、若い世代ほど認知度が低い傾向が見られます。新車より割安で状態の良い選択肢が、特に若年層には十分に知られていない実態が明らかになりました。

新車・中古車選択の判断基準
欲しい新車と同等クラスの中古車を比較した際、新車がどのくらい高ければ中古車に切り替えるかという問いに対し、女性の40.3%が「金額にかかわらず新車を選ぶ」と回答し、男性の30.2%を上回りました。男性は「30万円ほど高ければ中古車に切り替える」(14.6%)など、一定の価格差で中古車へ切り替える層が女性よりも厚く、価格による判断基準に男女差があることが示されています。

まとめ:自動車業界と消費者の未来
新車価格の高騰は、多くの消費者にとって自動車購入のハードルを上げており、その影響は購入意向の減退や中古車への関心の高まりとして現れています。しかし、中古車市場へのシフトは限定的であり、品質への不安や情報不足、そして「中古車=安い」という常識の揺らぎが、その障壁となっていると考えられます。特に女性層では中古車への検討経験が少なく、相場に対する情報も不足していることが課題として浮上しました。
「登録済み未使用車」のような実質新車に近い選択肢の認知度向上は、新車価格上昇が続く中で、特に若い世代の自動車購入を後押しする可能性があります。自動車業界全体としては、消費者の変化する意識に対応し、中古車の品質保証の強化や情報透明性の向上、多様な選択肢の適切な情報提供を通じて、市場の活性化を図ることが求められるでしょう。
リセールバリュー総合研究所について
リセールバリュー総合研究所は、中古車選びの価値基準のアップデートをコンセプトに、豊富な買取価格査定データや調査結果に基づき、クルマの売却価格や中古車相場を見える化する活動を行っています。自動車業界に限らず様々な分野の専門家を招き、多角的な視点から中古車のリセールバリューを研究し、その成果を発表しています。



